民放キー局のトップの役員報酬が明らかになったが、意外にも「１億円以上」はフジ・メディアＨＤの日枝久会長と豊田皓社長のみ。それぞれ１億７１００万円、１億１６００万円で、日産のゴーン社長みたいにベラボーな金額でもなかった。拍子抜けというべきか。

　もっと不思議なのが、日本テレビの氏家斉一郎会長が「１億円以下」だったこと。０４年度の“長者番付”を見ると、氏家氏の年収は１億７５００万円。当時は日枝会長以上の年収だったため、当然“１億円プレーヤー”に顔を並べるとみられていた。

　日テレは今年３月、氏家会長名で人事労務制度の改革案を提示し、社員の大幅な賃下げを断行しようとしている。トップも戒めようと自らの報酬返上を申し出たということか……。

「氏家会長の役員報酬は、日テレのトップに就任した９２年以降、ずっと約７０００万円とされ、大きな変化はないそうです。ただし、氏家氏は非上場の読売新聞のグループ本社の取締役なども兼任している。そちらの報酬をプラスすると年収が７０００万円なんてことはないと思う」（関係者）

　開示義務の対象は１社から１億円以上受け取っている上場企業の役員。それには該当しないだけのことなのか。

　また、ＴＢＳの井上弘会長、テレビ朝日の早川洋社長、テレビ東京の島田昌幸社長は役員報酬が推定４０００万〜６０００万円とされるが、いずれも系列局の役員などを兼任している。もっと高額の可能性も否定できない。芸能評論家の金沢誠氏が言う。

「日枝会長が２２年、氏家会長が１８年もトップの座に居座り続けているのは、それだけオイシイ仕事だからです。日枝会長の１億７１００万円という役員報酬はあくまで表に出た金額で、ほかに多額の交際費、運転手付きの社用車が使えます。また、大メディアのトップということで政財官界にもにらみが利く。カネと権力を同時に手にするのが民放のトップなのです」

　表面上の数字にダマされてはいけない。